→ 2024.11.25 NEW!

“認知症の人と家族のための情報交流会と相談会”…、ずいぶん長い名前ですが、この地域でご家族の認知症を心配しておられる方を対象に13年、今回で第37回目の交流会が、11月23日に開催されました。
コロナ禍を機に、この間規模を縮小して実施してきましたが、今回5年ぶりに前半の講演と後半の交流会の二部構成で実施し、たくさんのご家族や福祉専門職さんにお集まりいただきました。

第T部の講演は「認知症のいろいろ」と題して私が担当させていただきました。ここでいう“いろいろ”とは病気の種類をいうのではありません。多くはもの忘れで始まるこの病気が、さまざまな困難に出会ってある人は怒りを爆発させ、ある人は引っ込み思案になったり、そこで紡がれるさまざまな物語のいろいろです。今回の講演で強調させていただいたのは、認知症が当事者やご家族にしかけるワナがあるということです。それは「もの忘れ」という名のワナです。この症状はとにかく目立ちますし、先ず初めに気づかれる症状でもあります。これこそ病気の本体だと思うのも道理です。でも80歳台になれば生活のなかに占める記憶の重さは徐々に低下していき、むしろこれまてできていた、当たり前だった生活が、応援をもらう煩わしさなく続けていけることのほうがずっと大切になってくるのではないでしょうか? しかし“もの忘れ”があまりに華々しいため、ご家族の注目がそこのみに集中し、ともすれば生活に現れる不如意や億劫は自己責任になってしまいがちで、これは悲劇です。すなわち今回私が強調した認知症のワナです。こうして認知症のドラマはさまざまに枝分かれして歩んでいきます。今回はこうしたことを経験にもとずいて具体的にお話しさせていただきました。

この交流会という船は、コロナ禍の5年をはさんで碇を揚げ、再び本格始動することになります。しかしこれは2019年の海にもどるのではありません。この5年で状況は変化しています。福祉スタッフの不足、多くの事業所の閉鎖、有料老人ホームなど入所施設は増えましたが、ご家族は新たな選択肢に困惑することになりました。交流会は2019年ではなく2024年という海に出ていきます。私たちもとまどうことが多いのですが、ひとりで悩まず、いっしょに考えましょう。なお次回の交流会は来年3月20日、木曜日、春分の日です。近づけば告知いたしますので、この日にお会いしましょう。ボンボヤージュ。

おおにしクリニック 大西雅彦

→ 2024.11.18 「認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」のお知らせ  

認知症とそのご家族を支える交流会が実施されます。お近くのかたは気楽にご参加ください。

日時:2024年11月23日(土・祝)
13時00分〜15時30分(受付12時50分〜)

場所:クロスパル高槻 (JR高槻駅南、市民交流センター5階 視聴覚室) >> 地図はこちら

参加費:運営協力費500円

申込み:事前申込み必要 >> お申し込みはこちら

・1部の勉強会のみの参加でもOK
・会場の関係から参加人数を制限させていただく場合がございます。
・「個別相談」「見守りデイ」はありません。
大変ご不便をおかけしますが、ご理解の程よろしくお願いいたします。

→ 2024.07.04

ひさしぶりに会う人から、決まって「お元気そうで…」と声かけられるようになりました。“年をとる”とは、そんな小さな経験の積み重ねそのものであり、あたかも一段一段階段をのぼるかのように、私は私の実年齢との折り合いを迫られてゆきます。足が遅くなった、昔のように食べられなくなったと、カラダはなにかにつけ私に老いとの折り合いを求めますが、いや、カラダだけではありません。社会は、私の“今”を映す鏡のようなもので、その鏡もまた「お元気そうで…」と、私の老いを指し示すのです。

さて病気はこの老いの歩みを混乱させます。唐突に“私の命の最終局面”を提示することさえあり得ます。そのようなことは受け入れがたいので、私たちは折り合いの付け方に苦しみます。病気のせいで思い描いた進学、夢見ていた職業に就けなかった人も同じです。 認知症ではどうでしょう? 直近の記憶を失った高齢者は、足が遅くなったという経験も、電車で席を譲られるようになった経験も吹き飛んでしまいました。残っているのはせいぜいベテラン企業人として責任ある仕事に就いていた「私」です。その「年をとる経験をもたない私」が、お金やお薬は家族にまかせよ、昼間はデイサ…なんとか、というところに行け、と求められるのですから、この折り合いだって大変です。

もっといえば病気だけではありません。実は健康な高齢者も含めて、年配者のだれもがこの理不尽な折り合いの一歩手前を歩いているのです。
たとえば年とともに反射神経は劣化するので、高齢者は運転技能も低下していきます。60歳台後半から運転中のヒヤリ・ハット事案が増加するという事実はその証左です。
ところで運転に対して“自信がある”と回答する人の割合は、20歳台から概ね40%前後で推移しますが、60歳台後半50%台に上昇すると以後上がり続け、80歳台では70%台に達します。つまり健康な高齢者もまた、自身の手ごたえと周囲の目とのギャップに折り合いがつけられない人たちなのだといってよいのかもしれません。この高齢者だれもが歩む危険なやせ尾根を、認知症者もまた歩んでいます。あるいはもの忘れ故により頑迷に、時には非常識に折り合いを拒み、ご家族の怒りを買うこともあるのです。
しかし実は認知症者も、高齢期という同じやせ尾根を歩く多くの高齢者のひとりなのだと心にとめて、ご家族のみなさんは接してあげてほしいものです。

まもなく酷暑期です。きっと「暑くない」と頑固に主張する人がでてきます。「窓を開けるとウチの家は意外にヒンヤリ…」と譲らない人もいます。可能なら秋までエアコンを連続稼働させましょう。水分摂取も重要です。スポーツドリンクやOS1ならよりよいですが、なければペットボトルに水1リットル、塩3g、砂糖40gを入れて冷やして飲ませましょう。
今年は梅雨が早く明けると予測されており、その後は去年並みの猛暑だそうです。当院通院者のなかで、毎年数名が熱中症で入院されます。今年こそこの汚名は晴らさねばなりません。どうか皆様、ご無事で初秋をむかえられますよう祈っております。

→ 2024.05.07

初夏になり、新緑が輝く季節になりました。身体は慣れない暑さに早くもウンザリしているかと思う一方、雨模様のひんやりした夜には暖房を入れたくもなります。日々の変化に合わせて着衣にこまめな目配りが求められるこの時期ですが、認知症の人にとっては難儀な季節です。というのも認知症では病気の経過のなかで、暑さ、寒さ、そしてそれへの対処、そういうことに注意を向けるのが苦手になることがあるからです。

なぜそんなことがわからないのか、と思うでしょう。しかし逆に考えれば、気温のちょっとした変化にもこまかく羽織るものを調整しようとする日本の私たちを、神経質すぎるとみる異文化もきっとあるはずです。認知症の方が食器洗いすると二度洗いしないといけないので困る、という話もよくききます。これにしても洗い残しをしない私たちが、いつも洗剤を洗い損ねていないかと意識的に確認しながら作業しているわけではありません。それでも洗い残さないのです。 私たちの脳には、“適切に注意をふりむける”機能があると考えられます。これは生活経験のなかで具体化され、たとえば食器洗いであれば手指のヌルヌル感が消えたか、着衣なら目覚めてパジャマを脱いだときのヒンヤリ感がどうか、などのポイントを獲得していきます。そしてこれらはさらにそれぞれの文化のなかでより鍛えられもしますし、あるいは逆にルーズになることもあるでしょう。認知症では、この“注意をふりむける”機能が脆弱化し、それに上乗りする文化的強調も機能しなくなっていると思われます。実際男性小用で便器周りを汚していた方が、抗認知症薬開始後、一時的に汚さなくなったという事例を経験しました。あるいはお薬が注意機能改善に有効であったのかもしれませんが、残念ながらこれはレアケースです。

さてここまで考えてきたところで、暖かくなっても厚手の服を脱がない認知症の方に、私たちはどう接していくべきなのでしょうか? ご家族、それもどちらかというと子供世代のご家族からときどき聞くのは、「やっていることが不適切であることを受け入れて反省し、謙虚に回りの意見に耳を傾けよ」というものですが、これはうまくいきません。健常者の立場からの言葉は、耳に入りにくいものです。認知症の土俵にいっしょに立つことがスタート点です。そもそも私たちは目的に向かって日々を過ごしていますが、そのなかでシャツを半袖にしたり、食器をきれいに洗い、トイレを汚さず使うことは、特段に計画的にした行動ではありません。なにげなく気づいて行動しているのだけど、この“適切に注意をふりむける”機能が働いて安全弁になっているのでしょう。認知症の方も同様に、当たり前のように服を着、食器を洗い、トイレを使っているだけです。ここで目配り不足を反省せよというのは困難です。“認知症者が暮らす同じ土俵で考える”、最近これは、パーソン・センタード・ケアという英国発の言葉で語られるようになりました。

おそらく頭にのぼらない注意ポイント、たとえばその都度お皿をツルツルにしてねと言葉かけしたり、気持が続く程度の短時間で作業を終わらせる、あるいはトイレなら座位をすすめるなどの工夫が現実的ではないでしょうか。まもなく酷暑期がやってきます。熱中症は待ったなしです。重ね着と水分摂取不足に目を光らせる時期はまもなくです。

→ 2024.04.04

今年の3月は寒暖の差が激しく、春分の日の祝日はみぞれ混じりの吹き降りでした。おかげでソメイヨシノの開花が遅れ気味です。暖冬で早くにモクレンのつぼみがふくらみ、クリニックのある高槻市富田地区では、市役所の支所にある河津桜が2月中旬に満開になったとききましたが、そこから足踏みです。

さてここ富田は市のなかでも高齢化率の高い地域です。JRと阪急の駅がここでは近接していて、そこをつなぐ商店街は昼も夜も老若男女で賑わっています。しかしここは古くからの歴史ある町です。酒蔵がいくつかあり、あやめブランドの“とんた酒”は江戸でも名が知られていたそうです。そんな土地だけに商店街を通りいっぺんに歩いていても気づかない路地がいっぱいあって、一歩踏み出すとそこは思いがけない異世界が広がっていたりします。長くこの街をあわただしく行き来している私が知らないもうひとつの富田です。そしてそんなところに高齢者のひとり住まいが点在するのです。

このような街、はやりの言葉をつかえば多様な世代が住む懐の深い街には、自然発生的に高齢者の社交の場ができています。スーパーの一角にあるベンチ、古くからある喫茶店、昔からある飲み屋さんが昼間は高齢者の溜まり場であったりもします。
認知症カフェという取組があります。国が、「認知症の人が住みなれた場所で引き続き生活できる」ための施策として推進しているのですが、自然発生的にそうした試みがすでに連綿として続いており、社会のなかで生きる高齢者を支えてきたのですね。マスターは顧客の名前を把握しており、ご自身の個人情報まで伝えて、しばらく顔をみないと連絡をとりあうのだといいます。蛍光灯が切れて困ったとき、独り暮らしの高齢者が相談するのは、ケアマネージャーさんではなく、ましてや残念ながら我々医療関係者でもなく、顔なじみのお店のニイサンや喫茶店のマスターであることも珍しくないようです。気になる話をききました。「この街に住む80歳台の独り暮らしは、どこかでパイプがつながっていることが多いが、70代ではどこにもつながらない独り暮らしがいっぱいいる」というのです。こうした世代が80歳台になって自立度低下したときは大変です。私たち医療は福祉と連携して援助していきなさい、といつも言われていますが、マスターやニイサンとはどうやってつながっていくといいのでしょうか?課題は果てません。

→ 2024.01.05 あけましておめでとうございます!

…と言いたいところですが、新年は大地震で始まってしまいました。初詣から帰ったとたん、火につつまれた航空機を目にして言葉を失った方も多いのではないでしょうか? めでたいはずが、そうともいえない、複雑な気分で迎えるお正月…。実は“認知症”にとってもお正月はときに鬼門なのです。
それというのもお正月は「毎年欠かさず迎えてきた手慣れた行事」です。高齢者もそれはよく覚えていて、お餅はこの店、しめ縄はあのスーパーで、え、オセチは買わないよ、私が作る、もったいないからね!、エート金時ニンジンは…、となります。しかしお正月は同時に「しばらく頭になかったことを1年ぶりにするとき」でもあります。すなわちおもいがけず段取りに手間取ったりで変化に気づかれるときでもあるのです。特に半年ぶり、一年ぶりに帰省して顔をみた息子さん、娘さんは変化に敏感です。こうしたことがきっかけで早期発見、予防的な工夫に結びつく方は決して少なくありません。
逆にご高齢であっても、例年通り、シャキシャキと正月準備をこなせたのであれば、それは安心できる根拠といえるのかもしれませんね。なにはともあれ、もの忘れがあろうがなかろうが、認知症だろうがなかろうが、年に負けず、引っ込み思案にもならず、今年も元気な一年にしたいものです。

→ 2023.12.25 メリークリスマス!!

→ 2023.12.18 開院10周年を迎えました

長く続いた残暑が過ぎてしまうと、季節は急に足早になるようです。まだあまり実感はありませんが、もう“年末”、“師走”と呼ばれる時期になりました。当院でも診察の終わりに「よいお歳を…」という言葉がきかれます。毎年変わらぬ歳末の景色です。ただ当院にとっては、いつもとちょっと違う年の暮れになりました。というのは、おおにしクリニックはこの12月に開院10周年を迎えたからです。
認知症を専門に診るクリニックとして開院し、短いようで長いこの10年でした。開院当初には、“もの忘れ”などと記された屋外看板が問題視されたことがありました。「恥ずかしくて通院させられない」というのです。当時はデイサービスの送迎車を自宅前に停めないでほしいといわれることもある頃でした。10年経った今、そういう話はあまりきかれなくなりましたが、それは認知症の方が増えたこと、そして医療や介護保険の利用が日常になったからなのでしょう。
 しかしそれでは認知症を恥ずかしいと感じる気持ちが社会からなくなったのでしょうか?
それはどこかもっと見えにくいところに隠れて、今も認知症の人やそのご家族を苦しめているのではないか? そう思うことがあります。街中でもう介護を卒業された久しぶりのご家族に偶然出会うことがあるのですが、たいていは懐かしくお声をかけてくださいます。ところが少数ながら顔をそむける方がおられるのです。心中察するにかつての介護の日々はいい思い出とはいえなかったのではないでしょうか。介護保険はかなり介護者の負担を軽減してくれますし、担当ケアマネージャーは相談に乗ってくれたことでしょう。これを指して“介護の社会化”ということがあります。それでも自分が担ってきた介護が、社会の影の部分に過ぎなくて、自分の社会生活を豊かにしてくれるものではなかったと感じていたら、それはあまりいい想いでにはならなかったでしょうね。
本当は、あなたの介護の実践は、試行錯誤は、ちょうどあなたが会社やお店で働くのと同じように社会を豊かにするものだと感じたいものです。当院では2023年度から定期的に家族交流会を開いています。介護は時に辛いものです。しかしときに認知症にかかったご家族の笑顔をみてホッとすることがあり、交流会で自分の経験が誰かさんの介護にヒントを与え、ひいては社会をより豊かにすると感じる瞬間があれば、これが本当の“介護の社会化”ではないでしょうか?
この機会に、ここまで10年にわたっておおにしクリニックを支えてくださった患者様、ご家族に、あらためてお礼申し上げます。さまざまな社会資源との連携は当院の重要な目標ですが、道半ばにもきておらず、今後の課題です。私の無理な注文にもくじけず、認知症に向き合ってくれているスタッフにも感謝しています。さて新しい11年目はすでに始まっています。あせらず、一歩一歩進んでまいります。

→ 2023.07.31 暑中お見舞いもうしあげます

 暑いというより熱い日が続きます。年配者、なかでも認知症をおもちの高齢者にとってこの暑さは“命の問題”ですね。間違って道迷いしないか…?、まちがって分厚い服を重ね着していないか?、と熱中症はすぐ近所の横丁で待ち受けていますよ。

 さて認知症者に限らず、高齢者はゆっくり忍び寄るさまざまな機能低下に直面する毎日を送っているわけですが、なかでも高齢者で低下が早い身体機能を三つあげておきましょう。ひとつ目は視力で、こちらは40歳台には早くも「近くが視づらくてね」などとなりがちです。でもこっちは変化を自覚しやすいので、メガネを使うとか、対策がとれます。いっぽう自覚できなくて困るのが、二番目、のどの渇き、三番目、暑さの自覚です。厄介なことに、「喉がかわいたら飲んでますから…」、「うちは意外に風通しがよくて涼しいから…、エアコンはよほど暑いときだけ使うようにしてます」だいたいみなさん、判でついたように同じ返事が返ってきますが、どれもアウトです。ただ口渇、暑さを自覚していないだけで、もう身体はまいっているのです。熱中症はお宅の戸口まで来ているのですよ。もっともよほど重篤でなければ、熱中症になっても輸液治療で治ることでしょう。せいぜい1週間以内の入院で終わるでしょう。でもこの入院を機にもの忘れがドッと進む人がいます。こちらは退院したら治るとはかぎりません。

 とにかく熱中症にならないことです。一日にコップ6杯の水を飲んでください。スポーツ飲料やOS-1ならなおいいし、1リットルの水に塩3g、砂糖40gでそれに近いものが作れます。エアコンは口を酸っぱくしても稼働させましょう。寒いのが嫌なら、29度設定の低稼働でもいいから、終日稼働させてください。寝ているときも、外出しているときもです。9月まで連続稼働ならリモコンは不要ですね。場合によっては失くさないよう秋までご家族で管理しておいてもいいかもしれません。ちなみに電気代はそんなに高くならないようです。

 とにかく全ての高齢者さん、笑顔でコスモスの季節を迎えましょう!

8月、お盆の診療について

当院はカレンダー通りの診療を続けます。
お盆休みはありませんので、よろしくお願いいたします。

→ 2023.06.08 「認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」のお知らせ  

認知症とそのご家族を支える交流会が実施されます。お近くのかたは気楽にご参加ください。

終了しました

→ 2023.03.06 アルツハイマー病新薬のこと…  

アルツハイマー病はみなさんご存じの病気です。数ある認知症のなかの一つのタイプにすぎませんが、ただその患者数の多さがこの病気を有名にしました。そして今、この病気の新薬開発というニュースが、耳目を集めています。レカネマブというお薬です。
 これまでアルツハイマー病の治療薬としては、4っつの薬剤が使われてきました。この病気は脳に溜まった異常たんぱく質が神経細胞に害を与えることでおこる、という有力な仮説があるのですが、仮にこの有害たんぱくを“神経毒性のあるお味噌”に例えると、アルツハイマー病は「脳が毒性のある味噌漬け」になっているとイメージできるかもしれません。既存4薬剤は、いわば「脳神経を毒味噌から保護する」ようなお薬でした。レカネマブは一歩すすんで「犯人である毒味噌そのものを退治」しようというのですから、薬物治療はより根本的なレベルに達しようとしているのかもしれません。
 年内にも我が国で承認される可能性がでてきた本薬ですが、ただまだまだ課題があります。そもそもレカネマブはアルツハイマー病だけに効く薬です。認知症一般に効くわけではありません。ところがこの診断はもの忘れ外来での診察やMRI検査だけでは不確実さが残る点が問題です。またアルツハイマー病の症状かこの毒味噌仮説だけですべて説明できるかもまだ結論が出ていません。根本的な治療薬≒治る、となんとなく思いがちですが、そうではありません。既存4薬は利用期間が長くなると効果が減ってきますが、レカネマブがどうなのかまだわかりません。副作用の脳出血や脳浮腫は多くは軽度のようですが、気になるところです。
 とはいえアルツハイマー病の創薬史上、今年が画期的な年であることはたしかなようです。過度の期待は慎みながらも注目して見守っていきましょう。

→ 2023.01.10 2023年あけましておめでとうございます。

 松の内気分もようやく果て、社会が回りだすとともに、コロナ感染が暴発してしまいました。コロナは過去のことになってしまった若い世代、いっぽうで今も命を脅かされている高齢世代。コロナ禍はお互いの世代に気遣わしい視線を向けることが少なくなった社会を浮かびあがらせてしまいました。
 さて、当院が認知症を専門に診るクリニックとして当地に開院し、今年で10年になります。高齢者にかかわる他医療機関、福祉事業所と少しでも顔の見えるお付き合いをと、心がけてきたつもりですが、振り返ったとき、道遠きことを痛感します。
 患者様にとって少しでも居心地よい、そしてそれを支えてくださっているご家族にとっては、介護ライフがいつものお仕事と同じくらいの充実感につながりますように、微力ながらこれからも背中を押してまいります。本年もよろしくお願いいたします!!

2022.12.19 コロナワクチン接種のお知らせ  

今年は終了しました。
次回は、1月17日(火)を予定しております。
高槻市民であれば当院通院患者様でなくても接種可能です。 まずご予約のお電話をお願いします。

インフルエンザワクチン接種  

今年度の接種は終了いたしました。

→ 2022.11.15 「認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」のお知らせ  

認知症とそのご家族を支える交流会が実施されます。是非ご参加ください!

終了しました

>> チラシはこちら

→ 2022.06.20

 「たまには診察の様子も写真に撮ってみようか」と院長から提案があったので、撮影に応じてくれそうな患者さんをスタッフ一同で検討しました。
勿論、後ろ姿だけとはいえ、躊躇される方もいるはず。しかし、相談する間もなく、Fさんにお願いすることに決まりました。
Fさんは初めての来院から数年経過している方。同伴ご家族と共にいつも穏やかな表情で待合室で過ごし、スタッフとも顔なじみの仲だったので、お願いしやすかったのです。
「後ろ姿だけでいいので、診察の場面を写真に撮っていいですか?」とお願いするとFさんもご家族も快諾してくださいました。手持ちのカメラは古い一眼レフ。
カメラの調子が悪いのとアングルが決まらず、モタモタしていると、ご家族が「見てみましょうか」と言ってくだり、正しい設定をしてシャッターも押してくださったのです。
無事に「この写真がいいですね」の一枚が決まりました。診察後、Fさん、ご家族、スタッフが肩を寄せ楽しそうに会話しているのを目にしました。
まるで、カメラ仲間が集まり、談笑している風景でした。
患者、家族、医療スタッフという垣根を越えて集う姿がこころをあたたかくしてくれました。

 クリニック立ち上げ時、院長が言っていたこと。 
「わたしたちが敷居の上に立つことは簡単なこと。その理由は前に部屋、後ろに部屋。畳があることがわかっているから。
後ろの部屋、前の部屋、畳が霧で隠れて見えなくなったとしたら・・・それが認知症のある方の心象風景だと教えてもらいました。

 ご家族の足元には及ばなくても、霧に包まれた中で立ちすくんでいるとき「だいじょうぶだよ」と差しのべられる手と気持ちをいつも持っていたいと思いました。

スタッフ

→ 2022.03.10

 家族といっても、十人十色というお話をします。患者さんのなかにひとりで受診される方はもちろんいます。
でも少数です。自立した行動ができにくくなる病気だからですが、それだけではありません。 なぜなら患者さんにこの1ヶ月のことをきくと、よく返ってくる言葉は「普通です」、ちょっとへりくだる方は「変わり映えしません」これではわからないのでご家族の「眼」がほしくなるのです。

 ところがそのご家族も十人十色です。患者さん、たとえばそれがお母さんであれば、そのお母さんの日常にあまり注意が向いていない同伴ご家族も結構おられます。無関心ではなく、受診援助を自分の役割として 引き受けてくださっているような善意の方々です。たいてい「もの忘れはすすんでいることは知っているけど、 暮らしぶりはあんまり変わらないし、まあ安定しているかな」というお気持ちで、いつも通りのお薬を処方されて帰って行かれます。 つまり切迫した問題意識が少ないのです。圧倒的に“就労している息子さん”に多いという印象があります。

 ところが彼のお嫁さん、別所帯の妹さんも同じ考えとは限りません。夜更けまでブツブツ言いながら探し物ばかりして、 嫁を疑うような態度が感じられる、日中はまどろみがちだ、スーパーに行って夕方まで帰ってこなかった、等など。 おおごとにはなっていないものの、お嫁さんはこころ穏やかでなかったりもします。 そしてそのイライラが患者さんに伝染すると、これはちょっとややこしいですね。あるいは批判が医師に向くこともあります。 夫も自分と同じ思いのはずなのに、受診しても同じ薬がでるだけ…、などという不満がくすぶります。 このようなとき、私は家族会への参加をおすすめしています。不満を語れる場であるとともに、同じような経験をもつ 他のご家族がいる場です。

 さてあなたは心穏やかですか? そうもいきませんよね。でもまあ、笑顔のフリでもいいから、もうちょっとしたらあなたのお(義)父さん、 お(義)母さんをお花見に連れて行ってあげてくださいよ。

→ 2022.01.05 あけましておめでとうございます

 さて、新しい年を迎えてあなたは何を想いましたか? “初春”という言葉に、軽い浮き立ちを感じますか?
 それともまもなく始まる受験、来るかもしれない春の転勤辞令、引越しを考えて不安になりますか? 
 あるいは単にまだまだ続く冬枯れの季節を想ってうんざりしたかもしれません。
 しかし考えてみればこれらはいずれも、まもなく自分が接するであろう近い未来への関心です。
 元旦の朝、一週間前の今日はクリスマスだったよなあ、とその日の行動を振り返る人は 、多分あまりいません。
 でもそれは当り前のことです。あなたも私も過去となってしまったことへの関心や期待を適当にそぎ取って、そぎ取った分を今度はこっそり近い未来に置き直し、そのバランスの中で元気そうに暮らしています。
 欧米でクリスマス後の自殺者が多いことはよく知られていますし、うつ病はこの“自転車操業”が崩れた状態ということができるでしょう。
 ところで 認知症ではどうでしょう?この病気では、過去は霧の中ですから、「適当にそぎ取る“期待”」は見つけられません。
 この先に予想できる 未来は見えませんから「そぎ取った分をこっそり置き直す」場所も見当たりません。
 では認知症者の関心や期待はどこに向くのでしょうか? それは罪のない笑顔で過ごせた幼年時代、仕事に熱中していた黄金時代です。
 これは意外なほど頭に残るもののようで、夜中に仕事にいかなきゃ…とひと騒動起こしたり、家に帰る、と自宅を出て行こうとするのは、こういうことなのでしょう。非常識だし、現実的ではないけれど、「関心や期待をこっそり置き直している」のは私たちと同じ。
 そう思うと責められないよね(腹は立つだろうけど)。
 新年は1月4日からの診療ですよ!
 今年もよろしくお願いいたします。

→ 2021.11.22 お薬のききめのこと…

 認知症のなかでも際立って多いのが、アルツハイマー型認知症ですが、日本ではこの病気に有効性が認められるとして、4種類のお薬が保険適応されています。あなたのご家族にどのお薬が有効なのかは試行錯誤になりますが、それぞれの薬で薬理作用の強さに有意の差はないとされています。
 さて神経は一本の白い糸のようなイメージがありますが、実際には途中につなぎ目があるレールのような構造になっています。情報は電気信号となって神経を流れ、この繋ぎ目を渡って先に進むわけです。ここでつなぎ目を渡るとき大切なのが神経伝達物質というもので、これはいわば情報の渡し船です。アルツハイマー型認知症ではこの“神経伝達物質”、すなわち渡し船が少なくなっていて、情報の流れがつなぎ目で渋滞しているのです。先に述べたお薬の多くは、つなぎ目の中の神経伝達物質を増やす作用をもっており、そのことで神経の中の情報が以前のようにスムースに流れるようにしてくれるというわけです。
 このことは服薬に関する大切なことを教えてくれます。その一つはお薬をのんでもその日いちにちテレビの前でまどろんでいたのではお薬の効果が期待しにくいということです。“渡し船”がスタンバイしていても、肝心の情報がこなければ、渡し船は宝の持ち腐れになってしまうからです。
 第二には、せっかく活気のある時間を過ごしていても、すなわち情報がいっぱい流れてきても、服薬していないと、つまり渡し船がスタンバイしていないのならせっかくの情報も渋滞してしまうだけでしょう。
 認知症で困るのは、物忘れだけで終わらないことです、物忘れに引き続いて芋づる式にいろんな面倒がでてきます。その代表格が不活発、億劫というやつです。これに手をつけていかないと、せっかくのお薬が十分な効果を示さないことは。先ほどの説明でおわかりでしょう。治療にあたって医師が散歩をすすめたり、デイサービスを促すことがあります。ご家族のなかには、患者さんが嫌がったり不機嫌になるからそのような話題は避けたいとおっしゃる方もいらっしゃいますが、医療に責任を持つ立場からいうと、お薬と日々の生活の両面に目配りすることは大切です。患者さんの意向もあるので簡単ではありませんが、避けずにいっしょに考えていきましょう。

→ 2021.09.17

4月の記事でご紹介させて頂きました、Nさんご夫妻が約2ヶ月ぶりに来院されました。
お会計の時に、「前回来院時のエピソードをホームページに掲載させてもらっています♪」とお伝えすると、ご主人が「見せて、見せて」と仰ってくださったので読んで差し上げました。
今回もまた、顔をくしゃくしゃにして、ありがとうと微笑まれ、「お母さん(妻)は我が家のMVP。お母さんがいてくれたから、私は一生懸命仕事に取り組めた。今、お母さんは病気になってしまい、時々トンチンカンな事をしたり言ったりするけれど、それをバカにしたり、間違いを正面から怒ったりしてはいけない。」と仰いました。
この日の診察で院長とも、こういうお話をされたそうで、「先生も“その通りですね“と言ってくれた!」と嬉しそうでした。
最後に、「とにかく愛情やねん。愛情をもって接すること。それだけ。」と目に1粒の小さな涙を浮かべながら付け加えられました。
この間、当の奥様はソファに腰掛け、「何話してるの〜?」と終始ニコニコ。
Nさんが受診された9月14日はコスモスの日だそうです。 手を取り合って帰って行かれるその後ろ姿は、まるで風に揺れるコスモスが寄り添う様でした。
Nさん、いつも心に染み入るお話を私たちに教えて下さりありがとうございます。

→ 2021.09.13

 今日は「認知症のワナ」についてお話します。ところで認知症にもそれ専門のお薬があることは、よく知られるようになってきました。したがって投薬を求めて来院される方もたくさんおられます。いっぽうでお薬の効果には限界があることも知っておく必要があります。というのも現在利用可能なお薬が病気の根本原因に働きかけるものではないからです。認知機能テストの成績が少し改善することはしばしばありますが、横にいるご家族が怪訝な顔で「でも認知症は悪くなりました。ついさっきのことも忘れています」とおっしゃることがあります。受診の度に「またもの忘れがありました」と顔を曇らせるご家族もいます。これが「認知症のワナ」です。どういうことでしょうか?

 さて認知症は物忘れで始まることが多いとされています。だからご家族も先ずもの忘れで変化に気づきます。受診に至るのも、もの忘れが増えたからです。知らず知らずのうちに「認知症≒もの忘れ」という発想が、周りで気遣うご家族の判断基準になってゆきます。ところがもの忘れは進行します。多くの場合、たとえお薬をのんでいても、です。お薬で進行が緩やかになることは期待できますが、物忘れにピリピリしているご家族の立場にたてば、物忘れのエピソードの度に打ちのめされる気持になるのも理解できます。そして気遣わしげなご家族の視線に、患者さんはうまくいっていないと感じて足がすくみ、引っ込み思案になりがちです。この不活発がさらに認知症の背を押す悪循環になるのです。
これが「認知症のワナ」です。認知症は病気の始まりのところにもの忘れを仕掛けます。患者さんやそのご家族の注意をもの忘れだけに集中させておいて、気づけばもの忘れで絶望させ、結局病気でがんじがらめにしようというわけです。お薬だけでは解決しないこの病気。もの憶えの問題だけに振り回されるのでなく、たとえ認知症になっても患者さんにゆとりある、より居心地よい暮らしを提供できるよう、みなさんと一緒に工夫することも、私たち医療の大切な役割だと考えています。

→ 2021.08.02 服薬のこと…

たいていの高齢者は服薬と無縁ではいられません。
それも独り暮らしで、しかももの忘れがあるとなれば、援助者であるあなたは工夫が求められます。
私どもの経験で一番有効と考えているのは服薬カレンダーの利用です。
ここにお薬を1週間分セットして、お父(母)さんが固定電話に出たら眼の前に見えるようにぶら下げます。
そうしてもし今日が水曜日なら「水曜の朝の薬は入ってない?」と電話でききます。もし残っていればその場でのんでもらうのです。
「のんでおいてね」という注意喚起ではない点にご注意ください。

この方法はかなり有効で、服薬援助のゴールドスタンダードかと考えます。
ただ軽度の認知症の方ではそこまで必要がない場合があります。
また病気の進行のなかでは、逆にもっと別の方法を考えなければならないこともあります。
ではあなたのお父さん、お母さんが今どの段階にあり、したがってどんな方法で応援してあげるとよいのか、これをいっしょに考えるのは私たちの仕事です。

→ 2021.07.05 クリニックのチューリップ

当院では通院中の患者さんとご家族のみ、コロナワクチン接種をしています(7月現在)
通常の診察時、患者さんに同行される家族はほとんど同じ顔触れですが、ワクチン接種日はこれまで登場されなかったご家族が接種を目的に来院されました。
Mさんは数年前から通院している女性です。待合室での表情は硬く、職員と語らう姿、笑顔も拝見したことのない方です。普段は息子さんと来院されます。
接種当日はMさん、Mさんのご主人、息子さん、3人で来院されました。
ご主人は初めてお目にかかりましたが、歩きにくそうで一歩一歩、渾身の力で歩く様子でした。
やっと座った椅子から立ち上がる時も、痛みをこらえているご様子。息子さんに足のことを尋ねると
「僕が子どもの頃にはすでに足は不自由でした。腰から太ももにかけて、固まってしまって。
僕が小さい頃はもっと動きもよく、元気だったのですが、だんだん、動きが悪くなってきました・・・」と
一気に語ってくれました。普段の診察時には「こんにちは」と挨拶するだけでしたが、
息子さんは自分が幼いころのお父さんの姿を思い浮かべ、病を抱えながらも元気だった父親の姿を語ってくれました。
ご家族は、“実は話したいことがいっぱいあるんだ・・”そんな気持ちを抱え暮らしているのかもしれないと思い至りました。
ご家族だけの通院が続いている方に「お父さん お元気ですか?」と聞くと とてもうれしそうに
「はい、元気にしています。コロナなので自分だけできましたが、ありがとうございます」と、
こちらこそ ありがとうございますと言いたくなるご返事をいただきます。
待合室では淡々とした姿を見せるご家族も、ほんのひと言の声掛けで、”実は・・・“と
語ることもあります。ひとりで悩みや苦しみを抱えることなく、完璧な解決がみつからなくても
他者に語ることで風通しのいい関係作りに繋がるのではないかとMさんの息子さんから教えていただいた気がしました。

2度のワクチン接種が終了しても集団免疫はまだ得られていません。
安心せず、マスク着用忘れぬようにしましょう。

上の写真はドクダミ草の花です。コロナ禍になる2年前までは、茶葉にして来院のかたにお持ち帰りいただいていました。
今年も茶葉を作りました。一日も早く皆さまにドクダミ茶を飲んでいただきたいと思います。

スタッフ

→ 2021.06.11 初夏のお話 その① 

今年は季節が前倒しで進み、はやくも梅雨です。
もっともコロナ禍にあって高齢者(とそのご家族)にとっての関心は、ワクチン接種に集中しているようです。
コロナウイルスに対する抗体を産生するとされるこのワクチンは有効性も高いとされており、当院でも夏までの接種予約がいっぱいの状況です。
さて認知症のなかでも圧倒的に多い病気がアルツハイマー病であることはご存じですね。
この病気にはすでに4種類のお薬が利用できるようになっていますが、残念ながらその効果は限定的です。
そこでより根本的な治療を目指す研究、開発、挫折がこの20年間繰返されてきたのですが、開発戦略のひとつがこの抗体による治療なのです。
アルツハイマー病では神経毒性をもつ異常たんぱく質が脳内に蓄積されることが知られており、これが病気の根本的な原因ではないかと考えられています。
これを抗体を用いて攻撃し除去しようというわけです。
この戦いにはなんどもの挫折があっただけに、先日アデュカヌマブという薬剤がアメリカで承認されたことは大きなニュースになりました。
まだどうなるかわかりませんが、申請までたどり着いたお薬は初めてなので期待したいところです。

初夏のお話 その② 

アデュカヌマブについてお話しましたが、これとても夢の薬ではありません。
第一にこのお薬は毎月一回の点滴で投与され、一回一回がたいへん高価です。
第二にこれは認知症を治す薬ではありません。
もし将来製剤化されたとしても、アルツハイマー病の予備軍の方や発病してもごく初期の人が対象になると思われるのです。
これは目の前にあるとるにたらない小さな物忘れが、実は将来アルツハイマー病につながる変化であることが医学的根拠をもって示されたとき、初めてアデュカヌマブの治療対象になるということを意味します。なかなか狭き門です。
第三に、以上のことからわかるように、既にルーチンの生活で援助が必要になったアルツハイマー病患者さんは、このお薬の対象にはならないだろうということです。
したがって当たり前のことを言うようですが、病気を「予備軍」以上にすすませないことが特に大切です。
物忘れの病気はちょうど芋づると同じで、物忘れの後にいろんな不都合が引きずりだされるものです。
たとえば怒りっぽくなって孤立しがちになったり、なにかにつけ面倒になって億劫がったり、などです。
そうしてこうした「芋づる」が物忘れの背中をさらに押すという悪循環を形作ることになります。
あなたの周りに医師、看護師、ケアマネージャーなどの専門職、同じ悩みを経験してきた患者さん、そのご家族がいればこの連鎖を断ち切るいいアドバイスをくれるはずです。またこれはより病気が進んだ人にとってもいえることです。
アルツハイマー病はたいてい物忘れで始まるものですから、ついつい物忘れが増えたかどうかだけに焦点があたりがちです。
しかしすでにリタイヤなさった80歳以上の方にとって、“物忘れ”よりも“身辺に関心をもち、楽しく周囲の人たちと接する”ことができることのほうが、ずっと生活の質を上げてくれます。
では億劫になりがちな認知症患者さんにどのような方法で活気を持っていただけるのでしょうか?
ここでも同じことを言いましょう。私たちは福祉の専門家たちと連携してアドバイスの工夫をしていきます。
また当地には家族会があり、そこでは同じ課題に向き合ってこられたご家族の経験が蓄積されています。
必要に応じて紹介させていただきます。
いろんな工夫を提案させていただきながら、そう簡単にはいきませんが、いっしょに考えていきたいものです。

→ 2021.04.06

コロナ禍が一年過ぎても収束に向かわぬまま、春を迎えました。
私たちの気持ちもどこか鬱々となりがちですが、
満開の桜を目にし、歓びを抱きました。
そしてチューリップもお日様に向かって
せいいっぱいの背伸びをするように鮮やかな姿を見せてくれました。

先日、思いがけず、うれしいことがありました。
来院される方の目に留まるところに当院で不足しがちの釣銭のご協力をお願いすることにしました。
診察終了後の会計時、
「10円ある?」「500円玉あるよ」など
家族間でのにぎやかなやりとりがあり「やれやれ これでちょうどだね!」と、
受付職員との間で言葉が行き交います。
ある日、Nさんのご主人が、受付に来て、こう話してくれたそうです。
「女房が『おとうさん、ほらほら、10円や500円が不足してるんだからお釣りのないように、
ちょうどのお金を用意してや』だって」
こう語りながら、顔の造作を崩して笑うご主人の目には、あれやこれやに目配りする
しっかり者だったNさんが映っていたのかもしれません。

忘れっぽくなる。同じ話を繰りかえし言う・・・
そういったことに私たちのアンテナは向かいがちです。
しかし、何より大切なのはその人がその人らしさを
発揮できる場があること。安心しておしゃべりができること。
診察までの時間。会計が終わるまでの時間。
黙ったまま過ごすことなくとりとめのない会話の中でつながり、「笑顔でまた会おうね」と言える
クリニックでありたいと思います。

スタッフ

クリニックのチューリップ
→ 2021.01.12 当院の新型コロナ感染症対応について

当院は、日本医師会が提唱する感染症対策実施医療機関です。患者様、そのご家族の健康を守るために、以下のような感染症対策を実施しております。

  • 来院時の手指消毒用アルコール除菌液を常設
  • 次亜塩素酸ナトリウムによるソファ等、備品の定時消毒実施
  • 就業前の全職員検温、全患者様の来院時検温の徹底
  • 完全予約制の採用により、クリニック滞在時間の短縮(通常の待ち時間は15分以内)
  • 全職員のマスク、またはフェイスガード装着の徹底
→ 2021.01.08

当院脇の細い道の端に小さなベンチが設置されています。
通りかかられる近隣のご高齢の皆さんにほっと一息ついていただくためのベンチです。
ある時は荷物を抱えたお買い物帰りのおばあちゃんが、またある時は近くの工事現場でお仕事されている高齢のガードマンが一息ついておられました。

まだ残暑厳しい去年の9月の初め頃、このベンチにご高齢のご夫婦が腰かけておられました。
私の姿に気付かれた奥様が「勝手に座らせてもらってます、すみません。」とおっしゃいました。

お話を伺うと、いつもはご主人お一人でこの辺りをお散歩されていて、ご主人が奥様に「富田の駅の近くに椅子が置いてあって、いつもそこで休憩してから帰ってくるねん。」と話されていた、とのこと。

奥様は、椅子?駅の近く?どこのこと?何言ってるの?と、ご主人のお話を聞き流されていたそうです。

「主人が何を言っていたのか初めてわかりました。このベンチのことだったんですね!ありがたいです。」と仰って下さいました。

そして、「時間なのでそろそろ行きますね。」と立ち上がられた時、ご主人はお身体が不自由だったことに気づきました。お気を付けて、とお声かけすると、奥様が振り返られ、「ベンチの上に貼ってある言葉が優しくて、温かくて…ほんとにありがとう。」と言って、ご主人に手を添え、ゆっくりと歩いて行かれました。

ベンチの上の貼り紙には、

ご通行の年配の方々へ!
暑いなか、寒いなか・・・
買い物に、通院にまいにちご苦労様です。
信号待ちのひととき、
ここに腰をおろして一息つきませんか?
ア、ゴミは持ち帰ってくださいね
おおにしクリニック 院長
と、書かれています。

こちらこそ優しく温かく嬉しい言葉をありがとうございました。

スタッフ

→ 2021.01.05

 あけましておめでとうございます。
私たち、おおにしクリニックは、先月12月に、開院7年を迎えました。7年は決して短いものではなく、 当時先進的な考え方だったことも、今では新鮮さを失ってしまっていたりします。
とくにこの1年間のコロナ禍は、認知症医療を考え直す大きな機会になりました。利用しているデイサービスが突然お休みになったそのとたん、社会から孤立してしまった高齢者さん、あるいは面会禁止で何ヶ月もご家族と会えない施設入所者さん。
そのいっぽう医学の進歩はとどまることなく、アルツハイマー病のより根本的な治療薬アデュカヌマブが、今春アメリカで認可される可能性がでてきました。
絶えず変化する世界のなかで、あたふたさせられながらも、私たちおおにしクリニックは、これからも患者さん、ご家族と一緒に考えていきたいとおもっております。
ひき続きお力をお貸しください。

→ 2020.10.09

秋の訪れとともに新型コロナウィルスも収束してほしいと願っていましたが、これまでのあたりまえが通用しない社会になりつつあります。当院ではお茶、コーヒーの提供は当面、中止することにしました。
そのかわり、以前より広いスペースを使い図書コーナーをつくりました。本の分野は様々です。
診察、会計を待つ間、少しでも 文字や絵に触れて気持ちが和んでいただければと思っています。
先日は患者様のお孫さんが 一緒に来院。診察が終わるまでの間、コミック「のたり松太郎」を無我夢中で読んでいる姿を 目にし、気持ちがほっこりしました。
貸し出しもしていますが、今のところ、貸出ノートには スタッフの名前だけが並んでいます。

スタッフ

図書コーナー
→ 2020.08.31

こんにちは。コロナ禍で迎えた夏、これはだれにとってもはじめての経験です。
私たちにとってもそれは同じです。
高齢者にはこの20年で、いわゆる社会資源がかなり整備されました。ヘルパーさんやデイサービスが高齢者の生活を支えていることも、私たちは日々の診療のなかで実感してきました。
ところがなにより驚いたことは、このネットワークがコロナ禍のなかで、いとも簡単にくずれさったことです。
この春にはデイサービスを休止せざるをえなくなった方がたくさんでました。
施設入所された方では、もう何か月もご家族と会えない、という事態が現実のものとなっております。
半年前には安定した日課があり笑顔で満ちていた生活が、アレヨアレヨという間に社会的孤立に陥ることを私たちは知りました。たぶんこのようなときのセイフティネットは私的なネットワークなのでしょう。
ご家族やお友達からの声かけは孤立した認知症高齢者にも救いとなることでしょう。
私たちはともすれば介護保険などの公的援助に目を向けがちです。しかしいっぽうで認知症高齢者の私的な対人関係はどんどんやせ細っていきがちです。
私たちの医療はこうした私的なネットワークにも目を向けていくべきであることを、今回のコロナ禍は気づかせてくれました。

→ 2020.06.19

 新型コロナウィルスの緊急事態宣言が解除され、
都道府県をまたぐ移動も可能になりつつあります。
ディサービスの通所も再開し、少しずつ日常が戻ってきました。

 そんなある日のクリニックで、
心に留めておきたいことがありました。
90才を過ぎたSさん。
施設入所が決まり当院の診察が最終の日でした。
初めて来院されたときは唸るようなひとりごとが止まらず、落ち着かぬ様子でしたが、最近は笑顔がみられるようになりました。
最後の診察では、コロナのことが話題にのぼりました。
「コロナ、知っていますか?」 問われたSさんは、こくんと頷いて「車!」と即答。
同席のご家族が「そうや、おやじが一番初めに乗った車がコロナやった」と驚いて応えたそうです。
私たちにとってコロナと言えばやっかいな流行り病ですが、診察時のSさん親子の脳裏にはピカピカの自家用車「コロナ」、誇らし気に運転する夫(父親)の姿、助手席にはおしゃれなSさん。
後部座席には子どもたちがわくわく、はしゃぐ姿が甦ったのかもしれません。

 Sさんは時に自分の年齢も生年月日も介護する家族の名前も忘れ、食事を終えたことも忘れます。
足腰も弱り、車いすの暮らしです。
しかし、一番初めの自家用車の名前を覚えていることも驚きましたが、それ以上に、かつて、ドライブを楽しんだSさん一家の輪郭がくっきり浮かび上がりました。
老いは誰にでも平等に訪れ、認知症という病もまた、「順繰り」かもしれません。
目の前の病を看ることは大事なことですが、どのような道すがらを歩んでこられたのか、心馳せる気持ちも大事なことだと思い至りました。

スタッフ

→ 2020.04.24 チューリップが咲きました 

チューリップが咲きました。
本来ならチューリップの球根は前年の11月頃植えるのですが、
すっかり忘れていて、植えたのは年が明けた2月でした。
咲くかどうか心もとなかったのですが”植え時など 気にしなさんな”と 言わんばかりの勢いで、チューリップは、ぐんぐん背丈を伸ばし、つい、数日前に見事な花を咲かせてくれました。

  春望   杜甫

 国破山河在   城春草木深
 感時花濺涙   恨別鳥驚心
 ・・・・

 戦乱によって都長安は破壊しつくされたが、
 大自然の山や河は依然として変わらず、町は春を迎えて、
 草木が生い茂っている。
 時世のありさまに悲しみを感じて、
 花をみても涙を流し、家族との分かれを辛く思っては、
 鳥の鳴き声を聞いてさえ、
 はっとして心が傷むのである
 ・・・・・

新型コロナウィルス肺炎の流行が止まりません。
開院当初から”お茶”を来院の方に提供してきましたが、
今は中止しています。
ソファも対面しないようレイアウトを変えました。

以前は、目に留まった切り花を挟んで会話が生まれ、
お茶を口にした方からは「ここのお茶がおいしい」ってありがたい言葉を頂戴しました。

一日も早く、コロナ災難が去って、みなさまのおしゃべりや笑顔に会いたいと願っています。

スタッフ

チューリップ

→ 2020.04.20 ベンチを用意しました NEW!

クリニックの前に小さな横断歩道があります。
当院は駅近ですので、通勤の方、買い物帰りの方がここで信号待ちをします。もちろん当院通院の方もです。
ところが ここで気分が悪くなる年配者が時々でます。
そこで横断歩道脇の日陰にベンチを用意しました。
あるディサービス事業所さんにお願いして、利用者さんに作っていただきました。これから暑くなります。どうぞご利用ください。

ベンチ

→ 2020.03.05 第11回こころと脳のネットワーク講演会に参加しました。   

2月29日、お求めがあり、講演させていただきました。
主に医師を対象とした勉強会です。
当院の医療実践を統計資料からふりかえり、そこでの課題を検討しました。
コロナ感染症のこともあり、参加者は少なかったのですが、質疑応答も活発で、貴重な時間になりました。
明日からの医療に役立てたいと考えています。

→ 2020.02.25 第24回認知症家族交流会・相談会中止のお知らせ   

こんにちは、先日お知らせした家族交流会・相談会は、新型コロナ肺炎の流行のため、残念ながら中止させていただくことになりました。
次回7月23日を予定していますので、近づいたらまたお知らせします。
みなさん、風邪をひかないよう、栄養と睡眠をしっかりとって笑顔で桜の季節を迎えましょう。

→ 2020.02.17 「認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」のお知らせ   

こんにちは、恒例の認知症情報交流・相談会が春分の日に開催されます。当院医師 大西 雅彦も参加します。
JR高槻駅間近の行きやすい場所ですので、物忘れ・認知症のことで困っておられる方は、いちどおいでになりませんか?
>> チラシはこちら

中止となりました。次回7月23日の開催予定。

→ 2019.09.09 「地域で支える服薬介助」が開催されました 

9月8日、カンカン照りの真夏のような日曜日、認知症を理解し地域で支える会が主催する研修会、「地域で支える服薬介助」がシンポジウム形式で開催されました。
当院医師、大西雅彦もシンポジストとして、フロアからは当院スタッフも話し合いに参加しました。
この研修会は服薬介助というテーマを切り口に多職種連携のありかたを考えるもので、医師のほか、訪問看護師、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ホームヘルパー、薬剤師などさまざまな職種の話に耳を傾けることができました。
今回は特に薬剤師さんの訪問指導の役割が話題になりました。

地域で支える服薬介助研修の様子

→ 2019.09.05 「認知症ライフサポート研修」が実施されました 

9月4日、高槻市民会館で「認知症ライフサポート研修」が実施され、当院からも大西医師以下職員が参加しました。
認知症の方の意思、気持ちをできるだけ尊重し、もてる力を最大現引き出して暮らし続けるために、私たち援助者はどのように協力していけばいいのかというテーマで、医療機関、福祉事業所、社協、薬剤師さんなど多くの専門職が集まり議論しました。
当院からも大西医師以下、多くの職員が参加しました。このような多職種協働は当院がもっとも大切に考えている課題でもあります。アイデアを出し合い、貴重な 時間となりました。

認知症ライフサポート研修の様子

→ 2019.07.08

 こんにちは。おおにしクリニックのスタッフです。
今年も庭にドクダミの花がいっぱい咲きました。
先日、お茶にして来院された方に自由にお持ち帰り
いただきました。たくさん採ったつもりのドクダミも
乾燥させると3分の1くらいの量になります。
「ドクダミかぁ、うちの近所でも見かけるけど、作るのが
面倒だから・・・いただいていくわ」 「臭くないかなぁ・・・
ま、試しに飲んでみるわ」「今年も作ったんだね!」様々な
ひとことをいただいています。
その中でもひときわ喜んでくださるご家族がおります。
小耳にはさんだところによると、お父様がご健在のころ、
暑い季節が近づくと「夏はドクダミ茶だ!」と言って、
どこかの土手か山へ出かけ、ドクダミの葉をたっぷり摘み取り、
ドクダミ茶を作ってくれたそうです。
ご家族にとって夏に飲むお茶は麦茶でも番茶でもなく
”お父さん特製のドクダミ茶”だったそうです。
 先日、二回目のドクダミを摘みました。
お父様は真夏の日差しの中、どんな気持ちで土手まで走り、
ドクダミを摘んで、雑草を取り除き、洗って、乾燥させて、お茶にしたんだろう?
家族の健康を願い、手間暇かけて作る父親の姿を家族はきちんと
心に残していたんだなぁと温かい気持ちに包まれながら
庭のドクダミを摘みました。

→ 2019.06.17 「認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」のお知らせ 

認知症の人と介護でお困りの方、医療・介護専門家と家族が相談に応じます。当院医師大西雅彦も参加いたします。
駅前の便利な場所ですので、ぜひ足をお運びください。
>> チラシはこちら

終了しました

→ 2019.2.27 季節のごあいさつ

 「なにもかも 忘れてしまって、もうワケがわからないのよ。
お父さんのことも覚えてない。あんたの名前も、わからん・・・」 
 施設入所されているHさんは娘さんの押す車いすで来院。
Hさんの口癖は「ごめんなさいね。苦労ばかりかけて」気分を変えるように娘さんが「ほら ほら お母さん、火鉢だよ、懐かしいね」
 Hさんの顔がほころび「うちは呉服屋さんだったから、小さい火鉢をお店のあっちこっちに置いていたんですよ」と、向かいに坐るA子さんに話しかける。
指先を火鉢で温めていたA子さんが顔を上げる。と、Hさんは「んまぁ、可愛い顔の奥さんやねぇ 可愛らしいわぁ・・」と屈託なく話しかける。
  突然、可愛いって言われたA子さんは戸惑い顔。それから、二人は以前からの知り合いのようにおしゃべりを始めた。
娘さんはにこにこして聞いている。二人の会話はしばらく続き、帰り際、A子さんはHさんに手を差し出し、笑顔で握手をしていた。
A子さんは数年前から通院している方。初めて笑顔をみせていただいた。そして、自ら手を差し出し、握手する凛とした姿も素敵だった。

”懐かしい火鉢”とお雛様。 春が訪れるまで 
おおにしクリニックの守り神です。

おおにしクリニックスタッフ

→ 2019.02.12 「認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」のお知らせ

高槻で「認知症の人と家族を支える会」主催の相談会が開催されます。当院医師大西雅彦も参加いたします。
認知症の方にどう対応してよいかお困りの方、
どこに相談したらよいかお困りのご家族、
駅前の便利な場所ですので、ぜひ足をお運びください。
>> チラシはこちら

終了しました

→ 2018.12.05 開院5年を迎えました! 

2018年12月 おおにしクリニック 医師 大西 雅彦

 みなさん、こんにちは。平成25年12月に産声をあげてから、当院もようやく5歳の誕生日を迎えることになりました。
患者さんやそのご家族からいろんなことを教えていただいた5年間でした。
開院当初は「物忘れ≠ネどという看板があると、恥ずかしくて入れない」というお叱りをいただきました。また、より正確な診断や的確なアドバイスをさせていただくためにご家族にはご負担をおかけするようなことも少なくありませんでした。それにもかかわらず、開院以来1500名余の新しい患者さんをお迎えできたことは望外の喜びです。スタッフ一同お礼申し上げます。

ただこのいっぽうでは初診までの待ち日数が長くなりがちであるなど課題もいっぱいです。課題は治療のことだけではありません。「認知症の人が住みなれた街で暮らしていく」ということがいわれますが、「住みなれた街」を本当に居心地よい場所にしていくお手伝いも私たちの役割だとおもっています。
次の5年に向けて新しいスタートを切る当院を、今後とも見守っていただけますようお願いいたします。

→ 2018.07.17 「第19回認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」が開催されました。

7月16日(月)、高槻市市民交流センターで
「認知症の人を支える家族の会」主催の相談会が開催されました。
暑い日でしたが、熱心な情報交換会になりました。
当院医師の大西 雅彦は、演者として講演しました。

→ 2018.07.05 「第19回認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」開催のお知らせ

「第19回認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」が開催されます。 当院医師 大西 雅彦 も「どのタイミングで受診を考えたらよいか?」をテーマに演者としてみなさんといっしょに考えます。 お近くの方はお気軽に参加ください。

>>開催概要チラシはこちら
>>申込用紙はこちら

終了しました

→ 2018.05.21 「第2回 三島認知症多職種連携ワークショップ」が開催されました。 

第2回三島認知症多職種連携ワークショップが開催されました。
当日は医師だけでなく、看護師さん、ソーシャルワーカーさん、ケアマネージャーさんなど、タイトルどおり多職種の交流の場となりました。

当院医師、大西雅彦も事例提供者として参加しました。特に福祉職からみて医療はまだまだ敷居の高い存在だという実感とともに、それを乗り越えていこうという熱気がこもった意見交換がなされました。

→ 2018.04.03 季節のごあいさつ 

チューリップ

桜が満開になり、蕾だったチューリップが後を追いかけるように花開き、
「ほら ちゃんと咲いたよ!」誇らしげなチューリップの声が聴こえてきそうです。
おおにしクリニックが誕生してから5度目の春。この春も、チューリップが真っ先に来院される方をお迎えしています。
「きれいに咲いたね!」「咲くのを待ちわびていた・・・」と声をかけていただくと、怠けずに球根を植えて良かったと思い、きれいに咲いてくれたチューリップに「ありがとう」と感謝しながら水遣りをしています。

医療の現場で、認知症の薬の役割は神経と神経を結ぶ船頭さんの役割をしている。得られた情報をスムーズに神経に渡すための橋渡しの役割を担っていると学びました。
自然の恵みもまた、人と人を結ぶ船頭さんの役割を担っているのだと思います。
受付のカウンターにもスタッフが小さい花をちょこんと生けています。「この花を見るのが楽しみ」とおっしゃる方のそのひと言に感動し、気持ちがほころびます。
我が家の庭を見渡せば、雑草がいっぱいで、うんざり・・でもその中にドクダミの葉を見つけました。
ドクダミの葉はハート型。ドクダミ茶の季節もすぐそこまで来ています。
冬にはインフルエンザに罹患し、辛い時間を過ごした方にも春はやってきました。
さぁ 元気を出して「やぁ 春 今年もあなたに会えて良かった」と声をかけたいです。

おおにしクリニック スタッフ

→ 2018.01.05 明けましておめでとうござます。 

火鉢

明けましておめでとうござます。
ことのほか寒くなるといわれるこの冬ですが、三が日は思いのほか穏やかに過ぎてくれたようです。
みなさんはどうだったでしょうか?
地域唯一の認知症専門クリニックとして産声を上げた当院もおかげさまで5回目のお正月を迎えることができました。認知症の診断から治療、ケア相談まで、幅広く目を配り、三島地域認知症医療の応援団として少しはお役に立っているかなと振り返る今日この頃です。
さてそれにつけても大切さを痛感するのは、その応援団の間のチームワークです。応援団のなかにはご家族、ご近所の方や民生委員さん、ヘルパーさん、ディサービススタッフさん、とたくさんです。その中心にはケアマネージャーさんがいます。
そしてそのチームワークがよいとお薬も不思議によく効くものなのです。そんなわけで当院ではできるだけご家族同伴受診を求めています。
「なんだ、専門クリニックに行っても家族の負担は減らないじゃないか!?」と思われるかもしれません。その通りなのですが、事情を含みおき頂き、ご協力ください。
本年もよろしくお願いいたします。

おおにしクリニック院長

→ 2017.11.22 院内相談会を開催しました! 

10月26日 当院通院患者様 ご家族にむけて 第2回目の相談会を行いました。
今回の相談会は、当院待合室の 「ひばち」を囲みながらの小規模なものとし、いつもは脇役として来院してくださるご家族の方々に主役となっていただき、ネガティブなこと、ポジティブなこと 様々な気持ちを語り合うことができました。
ご参加いただきましたご家族からは、
・このような「場」があるのは ありがたい
・こういう会なら また 参加したい
・少人数が話し易かった
・当事者同士の「生の声」が聴けて「私だけじゃない」
 「私がおかしいんじゃない」と安心できた。
・自分の経験が他の方の参考になるなら、うれしい。

など、感想を寄せていただきました。

また、専門職の皆様にもご多忙中、多数ご参加下さり お礼申し上げます。

おおにしクリニック スタッフ

→ 2017.09.06 「三島認知症多職種連携ワークショップ」が開催されました。

9月2日(土)の午後、「三島認知症多職種連携ワークショップ」が開催されました。
その名のとおり、医師だけでなく、医療・福祉のさまざまな職種から参加があり、講演に続くグループワークでは当院 大西雅彦医師が話題提供して活発な議論をいただきました。

ひまわり

→ 2017.08.07 暑中お見舞い申し上げます

夏雲湧くすっきりした青空には なかなか出会っていませんが、めざまし時計代わりの蝉は今年も元気です。
おおにしクリニックは4度目の盛夏を迎えました。今年も朝顔、ポーチュラカを植えました。
背丈の小さい向日葵やハイビスカスも植えました。咲いてくれるかな・・真夏の西日は人間にとっても植物にとっても過酷なので「どうか 枯れないで!」って願うように水遣りをしてきました。
ひまわりが咲くのが楽しみ!と言ってくださった患者様がおられました。どうぞ見てやってください。
元気いっぱい咲きました。

例年に負けず厳しい夏です。エアコンが嫌いでも、エアコンを稼動させてください。
喉が渇いていなくても、少しずつでも水、お茶、ジュースを飲んでください。
食欲がなかったら、バナナやメロン、ヨーグルトやプリン、口当たりのいいもので 何とかしのいでください。
この夏、何とか超えましょう。そして皆様と笑顔で秋を迎えたいと願っております。

おおにしクリニック スタッフより

ひまわり

→ 2017.06.26 患者様ご家族向けの相談会を行いました。 

5月25日 当院通院の患者様ご家族に向けて、相談会を行いました。
事前に、ご家族が不安に思っていること、困っていることをアンケート調査し、80件以上のご回答を得て、当日は20名以上のご家族が参加下さいました。

そして、包括支援センターのケアマネージャーさんや保健師さん、看護師さん、社会福祉協議会の生活支援コーディネーターさん、高槻市認知症地域支援推進員さんなど、多種多様な専門職の皆様にお集まりいただき、ご家族の皆様の相談にのっていただきました。

各専門職のスタッフからの具体的なアドバイスやご家族が語った心温まる対応方法など、あっという間の2時間でした。

認知症という病を患っても、おおにしクリニックのドアを開けてくださった皆様に、多くの支援者・応援者と繋がっていることを知っていただけたら、幸いです。

皆様、ご協力ありがとうございました。

おおにしクリニック スタッフより

→ 2017.06.01 季節のごあいさつ 

今年もドクダミ茶の季節がめぐってきました。
庭に白い花が咲きだすと、早く摘んでおいしいドクダミ茶を皆さんに飲んでいただきたい気持ちになります。
好きな方にはご自由にお持ち帰りいただいています。
利尿作用、高血圧、動脈硬化の予防、便秘解消、糖尿病予防、冷え症予防、血行促進に効果があると言われています。

4か月前はしんと凍えるような朝を迎えていたなんて信じられません。
喉が渇かなくてもマメに水分を摂り、熱中症にならぬよう、ご自愛ください。

どくだみ茶

→ 2017.02.13 余寒お見舞い申し上げます。 

朝の庭が雪に覆われていました。
しんと冷える中、枯草の中にエサを探す小鳥は元気です。

わがクリニックでは3度目のお披露目 お雛様を飾りました。
来院の方に愛でていただき表情が晴々して見えます。
そして 火鉢も活躍しています!
「わー 懐かしい」 「珍しい・・こんなん 今もあるんやね」 「小っちゃい時 網のせて お餅やいたわ〜」 「うちは 干し芋焼いたでぇ〜」って様々な声が飛び交います。
友人でも知人でもない方々が火鉢ひとつを囲んで笑顔で語らう姿をみかけます。

言葉を失いかけてる方から「五徳」とつぶやくのを耳にしました。お雛様を見て 「きれい」とささやく声も聴きました。

インフルエンザが流行しています。うがいと手洗い、そして十分な水分摂取をこころがけ、笑顔で春を迎えられますように。

お雛様

→ 2016.12.26 認知症講演会がありました。 

12月7日、高槻市郡家地区で、民生委員さんなどの民児委員会主催の認知症をテーマにした講演会が開かれ、当院からは大西雅彦医師が講師として参加しました。
テーマは高齢者のもの忘れが気になったとき、どのように声かけしたらよいだろうか?です。それを「敷居の上に立ち、その前後にあるはずの畳がかすんでみえたら・・・・?」というたとえ話を切り口に考えました。
お話の後の質疑応答では高齢者ドライバーについての質問があり、この問題に対する関心の深さがうかがえました。

認知症講演会

→ 2016.10.24 『たかつきカフェってどんなカフェ?』〜認知症カフェの情報を共有するためのシンポジウム〜に行ってきました。

こんにちは。
おおにしクリニックのスタッフです。
10月9日大阪医科大学北キャンパスで開催された
『たかつきカフェってどんなカフェ?』〜認知症カフェの情報を共有するためのシンポジウム〜に行ってきました。
100の椅子がほとんど埋まって見えるほど多くの方が参加されました。専門職だけでなく、認知症の当事者、ご家族の参加が多く、活発な意見交換がなされました。
「おおにしクリニックで認知症カフェをやってもらえないのか?」「おおにしクリニックで認知症カフェをやるならボランティアをしたい」というありがたい意見をいただきました。
大西雅彦医師の発言した「新しく作らなくてもすでにある(ディサービスなど)が認知症カフェの役割を担えばそこがカフェになるという意見に勇気づけられた」というケアマネさんの言葉も頂戴しました。
認知症カフェ・・・認知症の診断を受けている独居で家にひきこもりがちな方が老人会の会長さんの誘いで一緒にコーヒーを飲みにカフェへ行き、新たな交流が生れ、つながり、ができ、介護認定まで繋がった例もあるそうです。
自分を再構成できる場所としての ”認知症カフェ” が あたりまえに あっちにもこっちにもある地域が住みよい街ではないかと考えさせられたシンポジウムでした。

10月も下旬だというのに、日中は「暑い暑い」で冷たいお茶がおいしいですが、夕方には風が冷たい空気を運んできます。
風邪をひいて寝込むことのないよう うがい、手洗いを忘れませんように ご自愛ください。

たかつきカフェ画像

→ 2016.08.29 「認知症カフェ」のお知らせ 

みなさんこんにちは。この秋、高槻市で「認知症カフェ」をテーマとするシンポがあり、当院医師大西雅彦もパネラーとして参加します。
「認知症カフェ」は、国が推し進める新オレンジプランの主要な軸のひとつです。興味のある方はぜひ足をおはこびください。
>>「認知症カフェ」のチラシはこちら

終了しました

→ 2016.08.29 残暑お見舞い申し上げます

2日前にツクツクボウシの鳴き声を聞きました。
日暮れも少し早くなりました。
待ちどおしい秋はもうすぐ、そこまで来ているはずですが・・・
8月も下旬だというのに強い陽射しは今だ衰えていません。
熱中症にならぬよう、水分を充分摂り、体重減少に注意し、この酷暑をどうぞ乗り越えてください。

遅植えの朝顔が西日に負けず咲いてくれました。

→ 2016.07.19 ミニ・セミナーの動画を公開しました。 

7月17日(日)開催の「認知症の理解のためのセミナー『認知症の人から見た世界』」をビデオに撮りYouTubeに公開しました。
当日おいでになれなかった方は、ぜひごらんください。

動画はこちら
>>『認知症の人から見た世界』1
>>『認知症の人から見た世界』2

→ 2016.07.05 季節のごあいさつ

こんにちは。梅雨入りしてからちょうど、折り返し地点。 重苦しい空模様ですが、遠くを見渡せば田んぼの緑が思いもよらぬ風景になって飛び込んできます。
お隣に住む家主さんから紫陽花をいただきました。来院の方から「すごく、きれいだねえ」「いろんな種類の紫陽花があるって知らなかった」「和むわ!」の言葉をいただきました。
庭のドクダミも真っ白い花を咲かせました。かつて、薬大の先生がドクダミは薬草の中では唯一、副作用の少ない草だと教えていただきました。そこで、ドクダミの葉を洗い、陰干し。乾煎してドクダミ茶を作りました。希望される方にお持ち帰りいただいています。
癖のある香りですが、高血圧、便秘、動脈硬化、冷え症の予防。そして美容にも。冷蔵庫に入れれば脱臭効果もあります。残念ながら認知症に効くお茶ではありませんが、ご飯をしっかり食べ、水分を充分摂り、厳しい真夏に備えましょう。

→ 2016.06.20 認知症の理解のためのセミナー『認知症の人から見た世界』のお知らせ

蒸し暑くなりました。高槻市内日吉台で以下のような講演会が開催されます。お近くの方は、ぜひ見に来てください。
>> セミナーのチラシはこちら

終了しました

→ 2016.04.12 季節のごあいさつ

こんにちは。本日吹き荒れた北風で街は桜吹雪。
おおにしクリニックの入り口には黄色いチューリップが咲きました。赤いチューリップはまだ蕾です。葉っぱばかりが元気だったシクラメンも赤い花を咲かせました。
春の花が精いっぱいの笑顔で来院される方をお迎えします。

→ 2016.02.25 「第12回認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」のお知らせ 

季節恒例の「認知症の人のための交流会と相談会」が3月に予定されています。当院医師 大西 雅彦 も、相談担当者として参加が予定されています。
会場は交通の便のよい駅前です。高槻の方はぜひお顔をみせてください。
>>情報交流会・相談会のチラシはこちら

終了しました

→ 2016.03.09 地域で支える『認知症ケアについて考えよう』地域向け講座の動画を公開しました。

2月28日開催の、地域で支える『認知症ケアについて考えよう』地域向け講座にご参加いただきありがとうございました。
講演会の動画をYouTubeに公開いたしました。
内容はパネルディスカッションの部分で、大西医師の発言部分だけをまとめました。
今回ご参加いただけなかった皆様も、ぜひご覧ください。

動画はこちら
>>地域で支える『認知症ケアについて考えよう』①
>>地域で支える『認知症ケアについて考えよう』②
>>地域で支える『認知症ケアについて考えよう』③

→ 2016.02.23 季節のごあいさつ

こんにちは。おおにしクリニックのスタッフです。
暖冬とは言え、季節は冬。今年も火鉢に炭を入れました。
「わ〜懐かしい・・・」「おばあちゃんが火鉢のそばに座って、お餅を焼いてくれたのを おもいだしたわ〜」「昔はこれだけだったね」「みんなが火鉢のまわりに集まったよね」
院長の実家で長く眠っていた火鉢が、大活躍! 3年目の冬なので炭の火起こしも失敗が 少なくなり、ほのかなぬくもりで来院された方の指先や気持ちをほっと温めます。

もうすぐお雛祭りですね。 お雛様もたくさんの方にみていただいて、誇らしげです。雛人形のそばに立ち記念撮影 された方、お雛様にいっぱい話しかけていた赤ちゃんもいました。

もうすぐ春ですね! 外出のあとは うがい、手洗いを忘れず 病気知らずで桜の春を迎えられますように。

→ 2016.02.01 地域で支える『認知症ケアについて考えよう』地域向け講座のお知らせ

みなさん、こんにちは。
高槻市内の今城塚公民館で、以下のような地域向け講座が開催されます。当院医師 大西 雅彦もパネリストとして参加が予定されています。お近くの方はぜひおいでください。
>> 講座のチラシはこちら

終了しました。

2015.11.02 『認知症の人と家族のための情報交流会・相談会』が
開かれます。

みなさん、こんにちは。
さて、まだ少し先、晩秋の頃になりますが、定例の「認知症の人と家族のための情報交流会・相談会」が開かれます。
当院の大西医師も交流会・相談会の担当として参加します。
会場はJR高槻駅からのすぐのところです、高槻の方はお気軽に
おいでください。

 >> 情報交流会・相談会のチラシはこちら

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2015.10.13 しまもと年長者いきいき月間 介護の日講演会 

みなさんこんにちは。
高齢者いきいき月間のプログラムとして、島本町が講演会を計画されました。当院の大西医師は演者として参加します。
お近くの方は、気軽に足をお運びください。
>>介護の日講演会のチラシはこちら

終了しました。

2015.06.01 第10回 認知症の人と家族のための情報交流会と相談会

7月20日(祝日)、恒例となった第10回「認知症の人と家族のための情報交流会と相談会」 が、JR高槻駅前で開催されます。
当院大西医師は個別相談をお受けする役割で参加いたします。  お近くの方は、ぜひおいでください。
>>情報交流会・相談会のチラシはこちら

終了しました。
2015.02.03 第9回 認知症家族・関わる人の情報交流会・相談会 

きたる3月21日(土)の祝日、高槻市で別紙のように
「第9回 認知症家族・関わる人の情報交流会・相談会」が開催されます。
当院の大西医師も勉強会講師、および相談会担当医師として参加させていただく予定です。
認知症のご家族を支え、あるいはご家族の認知症を心配しておられる方は、是非おいでください。
>>情報交流会・相談会のチラシはこちら

終了しました。

2015.01.22 認知症・もの忘れの医学講座のお知らせ 

高槻市郡家地区の福祉ゾーンで、「郡家まつり」が開催されます。
当院の大西 雅彦 医師は、認知症についての講演で参加します。
郡家地域にお住みのみなさん、是非のぞきにきてください。
>>郡家まつりのプログラムはこちら

終了しました。

2014.11.20 院長から開院一年のごあいさつ 

みなさん、こんにちは。

私たち「おおにしクリニック」は、もの忘れの診断・治療を役割として、昨年12月にここ高槻市に開院しました。「高齢者」、「もの忘れ」に特化した診療所は、この地域初めての試みでした。迷いながらの1年でしたが、その間に400人ちかくの方々が当院を初診で受診してくださいました。その患者さん、ご家族のそれぞれが悩んだ末の受診です。そしてそのなかでもいちばんよく耳にしたのは、「どこに相談していいか、わからない」、「必要な答えがもらえない」という訴えでした。

診療所がたくさんあり、地域包括支援センターという窓口がある。介護保険で利用できる活動の場もたくさんあります。私も認知症と診断すると、お薬による治療とデイサービスの二本立てをゴールド・スタンダードと考えておすすめします。ところが400人の患者さんは金太郎飴のように同じ顔をしているわけではないのですね。同じ認知症でも、淋しくてデイサービスがないとご家族に電話をかけ続ける方もいれば、逆に淋しさや不安は訴えないけれど頑固に人と接したがらず社会的に孤立する方もおられます。そのそれぞれの患者さんに、それぞれの工夫が必要で、教科書のような回答では解決できないことがあるのです。こうした事情が先のような訴えにつながるのだとおもいます。

私たち「おおにしクリニック」にもさまざまな心配ごとが持ち込まれます。もとより私たちにもその解決請負人になる力はありません。しかし患者さんのことに関心をもち、そのそばに寄りそい、ご家族といっしょに考え、試行錯誤する姿勢はこれからももちつづけたいとおもっています。

「おおにしクリニック」がある高槻市富田地区は高齢者の多い町です。この町で今、「徘徊高齢者を見守ろう」という地域発信の活動が生まれつつあります。高齢者が安心して暮らすためには、高齢者に関心をもち、視線が向き、耳を傾け、いっしょに考えるような町でありたいものです。そのために「おおにしクリニック」が少しでも役立つ場所だとおもっていただけるよう、次の1年を頑張りたいとおもいます。ひきつづきあたたかくみまもってくださるようお願いいたします。

2014.09.01 院内ミニ講演会の動画を公開しました。

こんにちは。みなさん。
8月3日の日曜日、当院でミニ講演会を実施しました。
テーマは 「認知症のお薬」です。
そのときのライブをYouTubeに公開しました。当日おいでになれなかった方は、ぜひごらんください。
なお好評につき、おなじ内容で11月にミニ講演会を予定しています。10月頃にスケジュールを公開しますので、よろしかったらおいでください。

動画はこちら >>院内ミニ講演会「認知症のお薬」

2014.05.19 院長から開院半年のごあいさつ

みなさん、こんにちは。

昨年12月に生まれたこのクリニックも、おかげさまで診療6ヶ月目に入りました。私たちおおにしクリニックは、認知症を専門に診るこの地域最初の診療所です。なにもかもが初めてずくしで、試行錯誤の半年間でした。果たして高槻市富田の地に根を張ることができるのか、不安をかかえてのスタートでした。でもゆっくりながらこの地で発芽できつつあるようです。

なによりも「通りかかりで入ってみた」という方が多いことです。小さいけれどみなさんのお家と軒を並べ、この街の片隅で呼吸をはじめた私たちを、見て、知って、入ってくださる方が少しずつ増えていることを実感できます。それに地域福祉のキーステーションであるケアマネージャーさんからも多くのご紹介をいただけるようになりました。

そのいっぽうでおひとりおひとりのご高齢者にとって、受診というのは不安で、勇気がいることだということも痛感しています。たとえ町のクリニックであっても、受診するというのはご本人にとってもご家族にとっても緊張することなのだということを、私たちおおにしクリニックは理解しています。診察の結果は認知症であるかもしれません。他の病気であるのかもしれません。あるいは病気ではないという診断になるかもしれません。いずれにしてもそれぞれの方がそれぞれの気がかりがあって受診されたのですから、私たちはそのご心配に耳を傾ける姿勢を守り続けます。顔のみえる出会いは、まず相談のお電話がないとはじまりません。共に考えるおおにしクリニックの次の半年を、ひきつづきあたたかく見守っていてくださるようお願いいたします。

院長 大西 雅彦

2014.04.28 院内ミニ講演会の動画を公開しました。

4月13日開催の「院内ミニ講演会」にご参加いただきありがとうございました。
講演会の動画をYouTubeに公開いたしました。
今回ご参加いただけなかった皆様も、ぜひご覧ください。

動画はこちら >>認知症の方とご家族の方のためのミニ講演会

2013.12.09 おおにしクリニックが開院いたしました。

このたび大阪府高槻市にて地域初の認知症専門クリニック、認知症・もの忘れ外来「おおにしクリニック」が開院いたしました。

認知症患者さんとご家族を支える応援団として、病院で認知症専門外来を担当してきた13年間の経験を、今度は街のなかから、「街の応援団」として、微力ながらみなさんのお役にたちたいと考えています。

私たち「おおにしクリニック」では、認知症の診断、治療から、患者様のケアや社会参加の相談まで、幅広く対応する用意があります。どうか私たちのクリニックを上手に活用してください。そしてご家族が認知症にかかっても、ともに笑顔で過ごせる毎日をとりもどしてください。

お気軽にご相談いただき、地域のかかりつけ医として皆様のお役に立てれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。